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Everything Must Change
(by Barbra Streisand)

家電がダメになるのは落雷の当たり年だけではない件 

2015年8月6日

今年は落雷の当たり年だそうだ。そのせいか、家電製品のトラブルが多発しているらしい。我が家も、10何年かぶりに停電した。10何年か前に起こった停電時には、インターホンがダメになり「基板」を入れ替えてもらった。もちろん有料だが、部品代と工賃だけで済んだ記憶がある。今年、我が家の家電群はなんとか難を逃れることができたようだ。

ところが夏のある日、メインの照明器具が突然ダメになった。「誘電雷」などの気配もない晴天の日の日暮れ時、3本入っている蛍光灯が同時に点灯しなくなった。近所の電気店に問いあわせたところ、その照明器具は点灯管ではなく「基板」で制御されているタイプなので、おそらく基板そのものを交換しなければダメだろうとのことだった。ただ、型式が10年前のものなので、基板があれば対応可能だが、場合によっては照明器具丸ごと買い換えしなければならないだろう、と余計な情報までついてきた。

保証期間と製品寿命の追いかけっこに久々に遭遇した。以前は、実にタイミングよく故障する製品が多かった。トラブルが発生して保証書をひっくり返し、日付を見て悔しい思いをしたのは両手の指を使っても足りない。

その照明器具メーカーの保守の人は、部品周りの安定性や劣化試験の精度が上がってきたことで、一昔前のような現象はさすがに少なくなっているという。だが今度は、製品の高密度化や使用負荷によって、想定外の部品劣化による故障が多くなっているのだという。今回の照明器具の不具合がまさにそれだったようだ。

劣化しだしたころに新しいモデルを投入し新しい製品の購入に結びつける「計画的陳腐化」という、購入者を小馬鹿にしたようなネーミングの手法がある。マーケティングのひとつの手法として確立しているそうだ。「タイミングよく」故障してくれる場合もあるし、定期的にデザインや規格を変えるという手法もある。

それでも、交換部品を用意していたり、さほど時間をかけずサプライ商品を準備してくれたりする企業もあるが、「2カ月ほどかかりますし、その部品を買うよりもこの新製品の方が結果的にリーズナブルだと思います」とあっさりといってくる企業もある。ひねくれ者の消費者でなくとも、その会社の製品は二度と買うまいと心に誓うようになる。

そもそも計画的陳腐化の犠牲者は、企業の想定を超えて使い続けるか、使用頻度が多いパワーユーザーに多いという想像が容易にできる。だとすると、企業にとって最良の顧客になりうるユーザーの身の上に、企業からすれば計画的に、ユーザーからすれば突然に、不幸が降りかかってくるというのもなんと皮肉なことだろう。

この計画的陳腐化で世界的に有名な企業がソニーだ。“ソニータイマー”という名前でも有名だし、この言葉は世界的にも通用するらしい。さすがは世界のソニーだけのことはある。かつての中鉢社長も07年の株主公開で「ソニータイマーと言われていることは認識している」とお認めになっている。

私も過去に何度もソニータイマーの犠牲者になった。規格違いで無駄になったパーツは、分別ゴミの引き取り手もなく、いまだに家の中でゴロゴロしている。四半期毎に規格を変えられたために、互換性を保てずに無駄になったものだ。それ以降、ソニー製品は家から完全に消えてしまったためわからないが、少しは改善されているのだろうか。

我が家の照明器具を制御していた基板はすでに過去のものになっていたらしいが、新しい規格の基板でも対応できたらしい。「でも、また10年後には確実に故障しますよ」と、“ありがたい”アドバイスいただいた。10年後、その企業の照明器具を使い続けるか否かの結論はまだ出ていない。