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Everything Must Change
(by Barbra Streisand)

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【仕事集】極限のラリーを支えるアプリ~Bluetooth機器とアプリで支える男たち~

2016年12月25日

日本精密測器株式会社
技術本部第一技術部 部長
脇 倫夫氏
株式会社ムーンファクトリー
System Team senior Manager
坂井 治郎

2017年ダカールラリー特集_企画・執筆・編集・取材

■iOS8の「ヘルスケア」アプリにいち早く対応

【坂井】 日本精密測器(NISSEI)さんは1965年に他社に先駆けて「血圧計」の生産を開始され、その製品は医療分野以外の様々なシーンでも利用されているとうかがっています。

【脇】 血圧計、パルスオキシメータ(血中酸素飽和度モニタ)、非接触体温計といった医療機器を中心に、監視カメラ用アイリスなどの開発・製造・販売の事業を展開しています。特に、血圧計、パルスオキシメータ、非接触体温計等でBluetooth(近距離無線通信技術)に対応した製品を持っているのが当社の大きな特徴だと思います。
しかも、そのBluetoothモデルはスマートフォンアプリの「HealStyle」に連携していて、計測したデータをスマホで管理することが可能になっています。それらのBluetooth対応機器を自社開発・生産しているのは、当社しかありません。そのHealStyleアプリの開発にあたっては、ムーンファクトリーさんの協力をいただきました。

【坂井】 最近、アップル社のiOS8から標準アプリとして「ヘルスケア」がiPhoneに搭載されるようになりました。NISSEIさんはHealStyleをいち早く対応させて、ヘルスケア側とのデータ連携を実現しましたよね。

【脇】 ヘルスケアへの血圧計の対応は、おそらく日本初じゃないかと思います。関係者にうかがったところ体温計の対応も日本初だと伺っています。また、血圧計とパルスオキシメータと非接触体温計の3つのを開発・生産し、各々のバイタルデータをアプリでデータ連携できるのは、あまり例がないのではないかと思います。

■厳しい環境下に耐える業界最先端の医療機器

【坂井】 そうした医療機器の稼動にはとてもセンシティブな環境が必要なイメージがありますが、最も過酷なラリーレイドといわれるダカール・ラリーの環境下でも大丈夫なのでしょうか。

【脇】 医療現場で使われる機器には、耐薬品性や耐衝撃性、防滴、防じんなどの性能が要求されます。
当社の製品は日本工業規格(JIS)に対応し、また、血圧計に関していえば、世界で最も厳しいとされているESH2010年版(欧州高血圧学会臨床精度試験)にも合格しています。この試験は上腕式モデルでは10年版規格発行後に日本初で、手首式モデルでは世界初で合格しました。合格するのはすっごい、大変なんですよ(笑い)。

【坂井】 それで過酷な環境下でも大丈夫なわけですね。ラリーにはどのような製品を提供されますか。

【脇】 パルスオキシメータ(MP-1000)と血圧計(DS-S10M)、それに体温計(MT-500BT)の3つの製品です。これらの製品で取得したバイタルデータをHealStyleアプリで管理して、京セラ社のTORQUE(トルク)で確認するという製品になっています。

【坂井】 今回、TORQUE (トルク)はラリー向けに特別なチューニングはせずに、ほぼ市販のままのようです。NISSEIさんの製品は、何らかの調整をしているんですか。

【脇】 ラリー向けということでの特別な調整はしていません。16年のモロッコ・ラリーで現地にてテストをしましたが、問題なく作動したという結果報告は受けています。ダカール・ラリーでも良い仕事をしてくれると期待しております。

■Bluetooth機器連携を実現したアプリ開発

【坂井】 当社が協力させていただいたスマートフォンアプリは、現在、6個まで開発が終わっています。

【脇】 細かな仕様は走りながら進められたアプリ開発でしたが、ムーンファクトリーさんの技術力やサポート力には非常に感謝しています。開発が進んでいくと、当初考えていたイメージと違うところが出てくるわけですよね。そうした状況などへも、ほぼ100パーセント対応していただきました。

【坂井】 今回の開発では、何枚かの完成予想図みたいなのをいただいて、それを基に「ああですか?こうですか?」という具合にキャッチボールしながら、完成に近づけるという感じでしたよね。仕様書をがっちり作っても、開発途中で「何か違う」といったことが出てくるのは当然でありますね。
特に、アプリ開発の場合。良いものを作るのにはプログラミングとデザイン両面での仕様変更にどう対応するかが勝負だと思っていますので、とても勉強になりました。

【脇】 今回はアプリとBluetooth機器の連携というのが大きな課題だったんですが、初めてだったので大変でしたよね。確実につながるまでに、2・3カ月くらいかかりましたね。

【坂井】 そうですね。お互い手探りの中で開発を進めるような感じでしたよね。アプリの中にはニュースアプリのように、作り方がほとんどウェブと変わらないようなものもあります。ただ、今回のようにBluetoothを使って外部機器と連携させながらデータをリアルタイムで表示させるにはスマホのネイティブな機能を呼び出す必要があるので、やっぱり難易度は格段に違いましたね。
アプリで広がるNISSEIワールド

【坂井】 NISSEIさんは HealStyle連動のBluetooth対応機器の仕組みをどのような分野に展開していく予定ですか。

【脇】 ある実業団の陸上部が行う海外での高地トレーニングでは、HealStyleアプリを使うことによって、現地で取得したデータが当社のサーバーに上がるようになっています。そのデータを日本にいるスタッフが確認し、選手に対して適切なフィジカル管理体制を提供できる環境を提供しています。
この仕組みは、離れたところで暮らすお年寄りが、元気で暮らしているかどうかを確認するためにも使えるように考えました。今、介護施設での入居者の方々の健康管理するシステムと連携して、バイタル測定データが自動でアプリに飛んで行き、入居者ごとのデータを集約するものを考えています。
今後、開発する機器もBluetoothで繋がることでHealStyleアプリと連携する仕組みが整えば、様々なNISSEIワールドをご提供できるようになると思います。

【坂井】 データを集約して健康管理サービスのような事業に対応できる機器と仕組みは実績としてお持ちですので、応用範囲もまだまだ広がりそうですね。

【脇】 今までですと、血圧計などの機器の開発・製造・販売が当社のメイン事業でしたが、今後はそうしたハード事業にとらわれず、ソフトウエア・通信インフラを活用したIT化により様々な方面に展開することで医療、介護、福祉などのシーンへの可能性を広げることができると思っています。

【坂井】 アプリの開発と制作のワンストップサービスを提供できるのが当社の特徴でもあります。これからも、どのようなご要望でも結構ですのでご相談いただければと思います。
お忙しいところありがとうございました。

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